
「毒親が過干渉で監視されてつらい」「毒親が嫌いで離れたいけど見捨てているような気がして罪悪感がある」「毒親から連絡がくるとこわい」こんなふうに思うことはありませんか?四六時中こんな想いを感じていたら心が休まらないですよね。
毒親育ちさんは「毒親との距離の取り方がわからない」という悩みを抱えています。今回は毒親との距離感の取り方について私の体験談をふまえて実践的な行動の方法をお伝えてしていきます。最後までご覧いただけたら嬉しいです。
毒親との距離が難しいのはなぜ?
まずは毒親との距離を置くことが難しいのはなぜなのか?という原因を知った方が実践しやすいので解説していきますね。
幼いころからの毒親の刷り込み
毒親育ちさんは幼いころから「子どもは親の言う事をきくのが当たり前だ」と親から勝手な価値観を押し付けられて育ったので「親の言う事を聞かない自分はだめ」という思いが自然とわきあがり、親の考えに反抗するような行動をしようとすると強い罪悪感を感じます。
「自分の意見を言えなかったり、優先できなかった」「親の意見が正しい」など毒親からの圧力が原因で自分の意見や想いを表現できず、その機会を奪われてきました。すると「どーせ、私の意見なんて聞いてもらえない」「親の言いなりにするしかないよね」とこれが当たり前のようになって自分の意見を言わなくなっていくんです。
私の場合は自分の意見がとおらないなら、考えることすら放棄していた時期もありました。こうなってくると自分の人生なのに毒親の言いなりになって将棋のコマのように動かされているだけになっているので自分の人生を生きていないことになるんですよね。
ここに気づくまでに私はかなり時間がかかりました。自分の根底に「親の言うことを聞かなければならない」「親の言うことは正しい」という絶対的な価値観を幼いころからずっと親に刷りこまれてきたから、それをくつがえす考えや行動をすることは罪悪感につながってしまうんです。
自分の親が「親の言うことは正しい」という価値観をもっているということは親もまた自分の親(私にとっての祖父母)にその価値観を押し付けられて育ってきたという可能性が高いです。ということは親から代々受け継がれた「親の言うことは正しい」という価値観の連鎖を断ち切らないと次は自分の子どもや孫へと連鎖していくということです。
ちなみに私の場合は「親に逆らってはいけない」という厄介な価値観まで植え付けられて育ったのですが、姉が思春期に毒親に対して反抗して逆らっている姿を見たことで毒親からの私の呪縛は解けました。
「そうか、私も自分が嫌なことは嫌だと主張していいんだ!」と思えるようになり、反抗という形で自分の想いを表現できるようになったことが救いでした。もし、あのときに自分を表現できずに「毒親のいいなりの良い子」を演じて生きていたとしたら、きっと私はいまだに自分を表現できずに自分らしさを捨てて自分の人生を生きられなかったと思います。
義務感や罪悪感にとらわれる
先ほどもお伝えしましたが罪悪感は親の価値観(「親の言うことは正しい」など)を刷り込まれたことから起こります。義務感も同じです。自分の意見を主張しようとすると「親の言うことを聞きなさい」「なんで親の言うことがきけないの!」と繰り返し毒親の価値観を押し付けられてきたことが原因で「親の言う事を聞かなければならない」という義務感が生まれて、間違った刷りこみが脳に定着してしまったんです。
例えば、自分は将来「デザイナーになりたい」と思っているのに親が医者だから「医者になって病院をつぎなさい」と言われていたとしたら「親の言う事を聞かなければならない」という思いが発動して「~しなければならない」という義務感に苦しめられるということです。
これは世間一般的に言われてきた価値観も含まれます。例えば「○○するなんて親不孝だ」「子どもは年老いた親の面倒をみるのは当たり前」「兄弟は下の子のお世話をするのは当たり前」などですね。
これって勝手な価値観の押しつけだと私は思うんです。人それぞれ、考え方や生き方が違うのでみんながみんな、世間一般的な価値観どおりに生きなきゃいけないっていうのはおかしいと感じます。
親の介護を選ぶ人もいれば、選ばない人もいる。一人ひとり選択肢があっていいはずなのに義務感や罪悪感で選択肢がなくなっていく・・・。人生は一度きりなのだからもっと自由にいきていいと思います。自分の人生なので・・・。
毒親は親子の境界線が引けない
毒親は子どもとの境界線を引いて接することがないことも特徴です。例えばうちの毒親の場合は「子どもの物は自分の物、自分の物は自分の物」といった形で子どものプライバシーを尊重できなかったんです。私が中学生になっても勝手に私の机の引き出しを開けてノートを見たり、姉は高校生になっていましたが同じように姉の机の中のものをあさって勝手に見ていました。
私が衝撃的だった過去のエピソードを知りたい方はこちらをのぞいてみてください!
→ 毒親育ちは恋愛も自由じゃなかった!毒親の所有物エピソード
普通の親だったらしないようなことをやってしまうのがうちの毒親でした。ちょっと信じられないですよね。ちなみにうちの毒親(母親の場合)はものすごく強い警戒心から子どもだけではなく、父親に対しても勝手に携帯電話やカバンの中をチェックするような人でした。
親子の境界線どころか、夫婦の境界線もなかったんです。ですから、家族は毒親が勝手に自分の境界線の中にズカズカと入ってくるので、より一層警戒していましたね。自分の大事なものを許可もなく勝手にみられてしまうというプライバシーのなさに家庭は安心できる場所ではなかったんです。
毒親からしてみれば「自分の子どもはまだまだ、子どもだから自分がすべてを管理しなければ」と思っていたのかもしれません。子どもには「毒親の物を勝手にみたらいけない」ときつく言い聞かせておきながら、親は子どもに許可もなく勝手に子どもの物を見てしまうのはNGですよね。
子どもがまだ、幼くて保育園児や小学校低学年くらいでしたら親が管理しなければいけないこともありますが、小学校高学年以上にもなれば自分の物の管理くらいはできるので親が介入してくる必要はありません。
さらに私は毒親が過干渉で成人して仕事をするようになってからも勝手に私の郵便物を開けてみられてしまったりということが日常でした。どこまでも、私にはプライバシーがないんだなということを思い知らされて「一日も早く家をでたい!」という願望につながっていったんですよね。
家族はもちろん、私も勝手に郵便物を開けないでほしいと毒親に言っても伝わらないむなしさも嫌というほど経験してきました。この毒親の境界線のなさが毒親との距離感をとる難しさにもつながっています。
私がやってきた毒親との距離の取り方
毒親との距離の取り方が難しい原因がわかったところで、次は実践の方法についてお伝えしていきますね。私の体験談もふまえてお伝えしていきますので参考にしてもらえたら嬉しいです。
1. 自分の思いや考えを「正当化し優先」する
「毒親と距離を置きたい」と思うことに「いいのかな」と罪悪感を感じていませんか?毒親の前で良い子を演じてきた場合は特に罪悪感が強くなりがちです。例えば本当の自分は毒親から距離を置きたいのに離れて暮らす毒親が「さみしい」と言って毎日電話をかけてくる。
電話に出ないと何度もしつこく電話してくる毒親が「うっとおしい」気持ちと「電話にでないといけない」という気持ちでモヤモヤする。こんな思いでつらくなって「私がいけないんだ」と自分を責めてしまう人もいると思います。
毒親との距離の取り方の一つ目としては毒親がさみしいからと自分を求めてきたとしても、あなたは自分の気持ちを優先することです。優しいあなたは毒親の想いをなんとかしてあげたいと思う気持ちもあるかもしれませんが、今まで十分に毒親の想いに応えてきたことと思います。
今まで自分の想いを我慢して抑え込んで自分のことは後回しにしてきたなら、なおさら今度は自分の想いを優先する番なんですね。毒親には毒親の人生があって、自分には自分の人生があるんです。
自分の人生を親のためだけに言いなりになって生きる必要はないんです。自分の気持ちを優先してまずは、自分を満たすことで自分に余裕が出てきて「毒親のことも気にかけてあげたい」という気持ちがでてきたならば、それからでもいいと私は思います。
自分のことを優先にするのは当たり前のことですし、毒親を優先しなかったからといってあなたが悪いということはありません。なぜならば、あなたの人生は毒親の物ではなくあなたの人生だから。自分をないがしろにしないで、自分を大切にして自分の人生を生きてほしいと思っています。
2. 少しずつ物理的な距離を取る
毒親との距離の取り方の二つ目としては実際にできる範囲から物理的な距離を置いてみる方法があります。自分にとって負担がかからない方法から少しずつチャレンジしてみるといいですよ。
【例】
・電話を受ける頻度を1か月に1~2度にする
・LINEの返信は1週間に1回程度にする
・同居していない場合は会う回数を少しずつ減らしていく
・引っ越しや一人暮らしを始める
・同居している場合はできる限り、家にいる時間を少なくする
物理的な形で毒親と距離をおいてみると罪悪感が出てくる場合もありますが、最初のうちだけなので慣れてくると自然と毒親との距離感を置いていることに罪悪感がなくなり、毒親からの解放感に満たされていきます。
3. 自分の心の中で毒親との境界線を引く
毒親との距離の取り方の三つ目としては自分の心の中で毒親との境界線を引いて考えることです。毒親は親という立場を利用して子どもを自分の都合のいいように従わせたり、支配しようとします。
例えば私の場合は子どもと離れて暮らしていて毒親は「さみしい」という理由で一日に何度も私に電話をしてきました。また、毒親が旅行に行くからという理由で当時実家で飼っていた「犬の散歩をしなさい」と私の都合も聞かずに一方的に押し付けてくることもありました。
私は結婚をして県外に住んでいたので突然、そんなことを押し付けられて困ったんですよね。こんなふうに毒親は子どもの生活や都合は全く考えず、自分の要求を満たすために子どもを操ります。毒親育ちさんは罪悪感から「親の言うことを聞かなければならない」と嫌々ながら毒親の要求に従ってしまうのではないでしょうか?
ここでちょっと立ち止まって考えてください。「毒親が要求してきていることは私の問題なの?」って自分の心に問いかけてみてほしいんです。毒親がさみしいのは「毒親自身が感じていること」で犬の散歩も私が実家に暮らしているなら犬のお世話をするは当然ですが、「実家に暮らしていないのに私が自分の都合を変更してまでやる必要があるの?」と私は考え直したんです。
犬に関しては命が関わる問題なので、毒親が一緒に犬を連れて行けないのであれば、預かってもらえる施設に預けるなど私がしなくても手段はあったはず。また、毒親がさみしいからといって、しつこい電話に私がつき合う必要もないんですよね。
こんなふうに「さみしいことや犬の散歩は毒親の問題で私の問題ではない」と割り切って境界線を引いて考えることで私自身、心が楽になりました。もう、毒親の言いなりにならなくていいんです。
私は毒親の召使いではないですし、私には私の都合や人生があるので毒親のあれこれを背負う必要はないと思うことで心の境界線を引いて考えられるようになりました。
また、私が毒親の要求に従わなかったことであれこれ暴言を吐いてつらく当たってきたとしても「これは母親の問題であって、私の問題ではない」「あれは母親の考え方や価値観であって、そういう考え方もある。でも、私の考え方や価値観ではない」と思うようにしたんです。
毒親の考え方に対しては肯定も否定もしないという自分の立ち位置を決めたことで聞き流すということもできるようになりました。私の場合は毒親を否定してきた期間が長かったので、否定すればするほど、否定する気持ちがわいてきて自分の心がモヤモヤしてたんですよね。
毒親を肯定も否定もせず、聞き流すということを始めてからはモヤモヤすることが減ったので、良かったら参考にしてみてくださいね。
4. 自分の味方に聞いてもらう
毒親との距離の取り方の四つ目としては味方になってくれる人に話を聞いてもらうことです。毒親と距離を置くことを実践していくと「本当にこれでいいのかな」と不安や孤独を感じたりすることもあります。
そんなときは毒親の話を共有できる兄弟や友人に自分の思いを話してみるといいかもしれません。信頼ができて話ができるような兄弟や友人がいない場合はカウンセラーに話を聞いてもらうのもベストです。
カウンセラーは聞き役のプロですし、外部に個人情報がもれる心配も防げます。不安や孤独な気持ちを抑え込まずに人に聞いてもらうことは感情を抑え込んできた毒親育ちさんにとっては自分の気持ちを表現するうえでも良い練習になります。
人に聞いてもらうという選択肢も取り入れながら実践してみてくださいね。
5. 少しずつ取り組む
毒親との距離の取り方の5つ目としては少しずつ取り組むことです。これまで紹介してきた方法を実践するうえで、気をつけたほうが良いことをお伝えしますね。毒親と距離を置くということが目的なので「明日からもう一切、毒親と距離を置いて絶縁します」という極端なことは避けた方がよいと思います。
なぜならば、今まで毒親に支配され束縛されてきた毒親育ちさんは極端にスパッと「絶縁」という形をとることで罪悪感や不安など心に負担がかかることもあるからです。また、毒親の方もいきなり、絶縁をされたとなると受け入れられなくて子どもへの執着が強くなり今まで以上に関わろうとしてくることが考えられます。
そこで負担が少なくなるように少しずつ実践をしていて毒親と距離をとることおすすめします。例えば「毒親からの連絡が来たら返信は次の日にする」「実家に行く、または毒親と顔を合わせる機会を1か月に1回にする」「仕事が忙しいからできないなど、毒親に自分の思いを少しずつ伝える」などできる範囲で進めていくといいですね。
距離を取るときに出てくる罪悪感の対処法は?
毒親との距離の取り方を実践していくと罪悪感から自分に対して「親がかわいそう」「申し訳ない」「親不孝なのでは?」「親の言うこと聞かなきゃいけないのでは?」という言葉が頭をよぎることもあります。
そんなときに私が実践してきた方法をこの記事を読んでくださっているあなただけにこっそりお伝えしますね。
罪悪感にさいなまれたときに私は頭の中にもう一人の自分を作って論破してました。例えば「親がかわいそう」「申し訳ない」「親不孝なのでは?」「親の言うこと聞かなきゃいけないのでは?」というのが私の中では「悪魔ちゃん」で、「罪悪感をもたなくていいんだよ」「毒親の問題だからあなたは自分のやりたいように生きればいいんだよ」という「天使ちゃん」というかたちです。
私の中で罪悪感が発動すると天使ちゃんを発動させて「あなたは悪くないよ」「大丈夫!」「私の人生は毒親のものではないよ。私の人生私のものだよ。」という具合に私の味方になってくれる天使ちゃんのおかげで自分を肯定しながら乗り切ってきました。
「悪魔ちゃんと天使ちゃん」というかたちでなくても、自分の好きな名前をつけてもう一人の自分と対話をしてみるといいですよ。大きな決まりはないですが、必ず最後は天使ちゃんが悪魔ちゃんを説得できるようにして対話を終わるようしてください。
私流の方法ですが、簡単にできる方法なのでよかったら試してみて、「やってみたよ~!」と1番下のコメント欄からコメントをいただけたら嬉しいです。
さいごに
毒親との距離の取り方を私の体験をふまえていくつか紹介してみました。今回お伝えした方法は私が実践してきた方法ですので、これがすべてではありません。私の実践してきた方法をやりやすい方法に自分でアレンジしてあなた自身が安心して過ごせるように毒親との距離の取り方を工夫してもらえたらと思います。
1番大切にしてほしいことは少しずつでいいので、毒親との距離をとって「自分のことを優先して自分を1番大切にすること」です。あなたが罪悪感を感じたり苦しみ続けることなく、あなたがあなたらしくいきてほしいと心から願っています。
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